斜陽(6)
六
戦闘、開始。
いつまでも、悲しみに沈んでもおられなかった。私には、是非とも、戦いとらなければならぬものがあった。新しい倫理。いいえ、そう言っても偽善めく。恋。それだけだ。ローザが新しい経済学にたよらなければ生きておられなかったように、私はいま、恋一つにすがらなければ、生きて行けないのだ。イエスが、この世の宗教家、道徳家、学者、権威者の偽善をあばき、神の真の愛情というものを少しも
「
戦闘、開始。
もし、私が恋ゆえに、イエスのこの教えをそっくりそのまま必ず守ることを誓ったら、イエスさまはお
叔父さまたちのお世話で、お母さまの密葬を伊豆で行い、本葬は東京ですまして、それからまた直治と私は、伊豆の山荘で、お互い顔を合せても口をきかぬような、理由のわからぬ気まずい生活をして、直治は出版業の資本金と称して、お母さまの宝石類を全部持ち出し、東京で飲み疲れると、伊豆の山荘へ大病人のような
「きょう、私、東京へ行ってもいい? お友だちのところへ、久し振りで遊びに行ってみたいの。二晩か、三晩、泊って来ますから、あなた留守番してね。お炊事は、あのかたに、たのむといいわ」
直治の弱味にすかさず附け込み、
東京郊外、省線
こがらしの強く吹いている日だった。荻窪駅に降りた
どうしようか、とまた瞬時立ちすくみ、それから、身を投げる気持で、玄関の
「ごめん下さいまし」
と言い、両手の指先で格子を
「上原さん」
と小声で
返事は、有った。しかし、それは、女のひとの声であった。
玄関の戸が内からあいて、細おもての古風な匂いのする、私より三つ四つ年上のような女のひとが、玄関の
「どちらさまでしょうか」
とたずねるその言葉の調子には、なんの悪意も警戒も無かった。
「いいえ、あのう」
けれども私は、自分の名を言いそびれてしまった。このひとにだけは、私の恋も、奇妙にうしろめたく思われた。おどおどと、ほとんど卑屈に、
「先生は? いらっしゃいません?」
「はあ」
と答えて、気の毒そうに私の顔を見て、
「でも、行く先は、たいてい、……」
「遠くへ?」
「いいえ」
と、
「荻窪ですの。駅の前の、
私は飛び立つ思いで、
「あ、そうですか」
「あら、おはきものが」
すすめられて私は、玄関の内へはいり、式台に
「あいにく、電球が二つとも切れてしまいまして、このごろの電球は馬鹿高い上に切れ
などと、しんからのんきそうに笑っておっしゃる。奥さまのうしろには、十二、三歳の眼の大きな、めったに人になつかないような感じのほっそりした女のお子さんが立っている。
敵。私はそう思わないけれども、しかし、この奥さまとお子さんは、いつかは私を敵と思って憎む事があるに違いないのだ。それを考えたら、私の恋も、一時にさめ果てたような気持になって、下駄の鼻緒をすげかえ、立ってはたはたと手を打ち合せて両手のよごれを払い落しながら、わびしさが猛然と身のまわりに押し寄せて来る気配に堪えかね、お座敷に
「ありがとうございました」
と、ばか
駅前の白石というおでんやは、すぐに見つかった。けれども、あのひとはいらっしゃらない。
「阿佐ヶ谷ですよ、きっと。阿佐ヶ谷駅の北口をまっすぐにいらして、そうですね、一丁半かな? 金物屋さんがありますからね、そこから右へはいって、半丁かな? 柳やという小料理屋がありますからね、先生、このごろは柳やのおステさんと大あつあつで、いりびたりだ、かなわねえ」
駅へ行き、切符を買い、東京行きの省線に乗り、阿佐ヶ谷で降りて、北口、約一丁半、金物屋さんのところから右へ曲って半丁、柳やは、ひっそりしていた。
「たったいまお帰りになりましたが、大勢さんで、これから
私よりも年が若くて、落ちついて、上品で、親切そうな、これがあの、おステさんとかいうあのひとと大あつあつの人なのかしら。
「チドリ? 西荻のどのへん?」
心細くて、涙が出そうになった。自分がいま、気が狂っているのではないかしら、とふと思った。
「よく存じませんのですけどね、何でも西荻の駅を降りて、南口の、左にはいったところだとか、とにかく、交番でお聞きになったら、わかるんじゃないでしょうか。何せ、一軒ではおさまらないひとで、チドリに行く前にまたどこかにひっかかっているかも知れませんですよ」
「チドリへ行ってみます。さようなら」
また、逆もどり。阿佐ヶ谷から省線で立川行きに乗り、荻窪、西荻窪、駅の南口で降りて、こがらしに吹かれてうろつき、交番を見つけて、チドリの方角をたずねて、それから、教えられたとおりの夜道を走るようにして行って、チドリの青い
土間があって、それからすぐ六畳間くらいの部屋があって、たばこの煙で
私は土間に立って、見渡し、見つけた。そうして、夢見るような気持ちになった。ちがうのだ。六年。まるっきり、もう、違ったひとになっているのだ。
これが、あの、私の
お嬢さんのひとりが私を見とがめ、目で上原さんに私の来ている事を知らせた。あのひとは坐ったまま細長い首をのばして私のほうを見て、何の表情も無く、
私は黙って坐った。上原さんは、私のコップにお酒をなみなみといっぱい注いでくれて、それからご自分のコップにもお酒を注ぎ足して、
「乾杯」
としゃがれた声で低く言った。
二つのコップが、力弱く触れ合って、カチと悲しい音がした。
ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、と誰かが言って、それに応じてまたひとりが、ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、と言い、カチンと音高くコップを打ち合せてぐいと飲む。ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、とあちこちから、その
「じゃ、失敬」
と言って、よろめきながら帰るひとがあるかと思うと、また、新客がのっそりはいって来て、上原さんにちょっと会釈しただけで、一座に割り込む。
「上原さん、あそこのね、上原さん、あそこのね、あああ、というところですがね、あれは、どんな
と乗り出してたずねているひとは、たしかに私もその舞台顔に見覚えのある新劇俳優の藤田である。
「ああ、あ、だ。ああ、あ、チドリの酒は、安くねえ、といったような
と上原さん。
「お金の事ばっかり」
とお嬢さん。
「二羽の
と若い紳士。
「一厘も残りなく償わずば、という言葉もあるし、
と別の紳士。
「それに、あいつあ酒飲みだったよ。妙にバイブルには酒の譬話が多いと思っていたら、果せるかなだ、
ともうひとりの紳士。
「よせ、よせ。ああ、あ、
と上原さん、一ばん若くて美しいお嬢さんと、カチンと強くコップを打ち合せて、ぐっと飲んで、お酒が口角からしたたり落ちて、顎が
私はそっと立って、お隣りの部屋へ行き、病身らしく
「おなかが、おすきになりません?」
と親しそうに笑いながら、尋ねた。
「ええ、でも、私、パンを持ってまいりましたから」
「何もございませんけど」
と病身らしいおかみさんは、だるそうに横坐りに坐って長火鉢に寄りかかったままで言う。
「この部屋で、お食事をなさいまし。あんな
「おうい、キヌちゃん、お酒が無い」
とお隣りで紳士が叫ぶ。
「はい、はい」
と返辞して、そのキヌちゃんという三十歳前後の
「ちょっと」
とおかみさんは呼びとめて、
「ここへも二本」
と笑いながら言い、
「それからね、キヌちゃん、すまないけど、裏のスズヤさんへ行って、うどんを二つ大いそぎでね」
私とチエちゃんは長火鉢の
「お
おかみさんは、ご自分のお茶のお
そうして私たち三人は黙って飲んだ。
「みなさん、お強いのね」
とおかみさんは、なぜだか、しんみりした口調で言った。
がらがらと表の戸のあく音が聞えて、
「先生、持ってまいりました」
という若い男の声がして、
「何せ、うちの社長ったら、がっちりしていますからね、二万円と言ってねばったのですが、やっと一万円」
「小切手か?」
と上原さんのしゃがれた声。
「いいえ、現なまですが。すみません」
「まあ、いいや、受取りを書こう」
ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、の乾杯の歌が、そのあいだも一座に
「
と、おかみさんは
「知らないわ。直さんの番人じゃあるまいし」
と、チエちゃんは、うろたえて、顔を
「この頃、何か上原さんと、まずい事でもあったんじゃないの? いつも、必ず、一緒だったのに」
とおかみさんは、落ちついて言う。
「ダンスのほうが、すきになったんですって。ダンサアの恋人でも出来たんでしょうよ」
「直さんたら、まあ、お酒の上にまた女だから、始末が悪いね」
「先生のお仕込みですもの」
「でも、直さんのほうが、たちが悪いよ。あんなお
「あの」
私は
「私、直治の姉なんですの」
おかみさんは驚いたらしく、私の顔を見直したが、チエちゃんは平気で、
「お顔がよく似ていらっしゃいますもの。あの土間の暗いところにお立ちになっていたのを見て、私、はっと思ったわ。直さんかと」
「左様でございますか」
とおかみさんは語調を改めて、
「こんなむさくるしいところへ、よくまあ。それで? あの、上原さんとは、前から?」
「ええ、六年前にお逢いして、……」
言い
「お待ちどおさま」
女中さんが、おうどんを持って来た。
「召し上れ。熱いうちに」
とおかみさんはすすめる。
「いただきます」
おうどんの湯気に顔をつっ込み、するするとおうどんを
ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、と低く口ずさみながら、上原さんが私たちの部屋にはいって来て、私の傍にどかりとあぐらをかき、無言でおかみさんに大きい封筒を手渡した。
「これだけで、あとをごまかしちゃだめですよ」
おかみさんは、封筒の中を見もせずに、それを長火鉢の引出しに仕舞い込んで笑いながら言う。
「持って来るよ。あとの支払いは、来年だ」
「あんな事を」
一万円。それだけあれば、電球がいくつ買えるだろう。私だって、それだけあれば、一年らくに暮せるのだ。
ああ、何かこの人たちは、間違っている。しかし、この人たちも、私の恋の場合と同じ様に、こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない。人はこの世の中に生れて来た以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生き切るための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。
「とにかくね」
と隣室の紳士がおっしゃる。
「これから東京で生活して行くにはだね、コンチワァ、という軽薄きわまる
「その一つも出来やしねえ
と別な紳士が、
「上原二郎にたかって、痛飲」
ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ。
「泊るところが、ねえんだろ」
と、上原さんは、低い声でひとりごとのようにおっしゃった。
「私?」
私は自身に
「ざこ寝が出来るか。寒いぜ」
上原さんは、私の怒りに
「無理でしょう」
とおかみさんは、口をはさみ、
「お可哀そうよ」
ちぇっ、と上原さんは舌打ちして、
「そんなら、こんなところへ来なけれあいいんだ」
私は黙っていた。このひとは、たしかに、私のあの手紙を読んだ。そうして、誰よりも私を愛している、と、私はそのひとの言葉の
「仕様がねえな。福井さんのとこへでも、たのんでみようかな。チエちゃん、連れて行ってくれないか。いや、女だけだと、途中が危険か。やっかいだな。かあさん、このひとのはきものを、こっそりお勝手のほうに
外は深夜の気配だった。風はいくぶんおさまり、空にいっぱい星が光っていた。私たちは、ならんで歩きながら、
「私、ざこ寝でも何でも、出来ますのに」
上原さんは、眠そうな声で、
「うん」
とだけ言った。
「二人っきりに、なりたかったのでしょう。そうでしょう」
私がそう言って笑ったら、上原さんは、
「これだから、いやさ」
と口をまげて、にが笑いなさった。私は自分がとても可愛がられている事を、身にしみて意識した。
「ずいぶん、お酒を召し上りますのね。毎晩ですの?」
「そう、毎日。朝からだ」
「おいしいの? お酒が」
「まずいよ」
そう言う上原さんの声に、私はなぜだか、ぞっとした。
「お仕事は?」
「駄目です。何を書いても、ばかばかしくって、そうして、ただもう、悲しくって仕様が無いんだ。いのちの
「ユトリロ」
私は、ほとんど無意識にそれを言った。
「ああ、ユトリロ。まだ生きていやがるらしいね。アルコールの
「ユトリロだけじゃないんでしょう?
「そう、衰弱。しかし、新しい芽も、芽のままで衰弱しているのです。霜。フロスト。世界中に時ならぬ霜が降りたみたいなのです」
上原さんは私の肩を軽く抱いて、私のからだは上原さんの二重廻しの
路傍の樹木の枝。葉の一枚も
「木の枝って、美しいものですわねえ」
と思わずひとりごとのように言ったら、
「うん、花と真黒い枝の調和が」
と少しうろたえたようにしておっしゃった。
「いいえ、私、花も葉も芽も、何もついていない、こんな枝がすき。これでも、ちゃんと生きているのでしょう。枯枝とちがいますわ」
「自然だけは、衰弱せずか」
そう言って、また
「お風邪じゃございませんの?」
「いや、いや、さにあらず。実はね、これは僕の奇癖でね、お酒の酔いが飽和点に達すると、たちまちこんな
「恋は?」
「え?」
「どなたかございますの? 飽和点くらいにすすんでいるお方が」
「なんだ、ひやかしちゃいけない。女は、みな同じさ。ややこしくていけねえ。ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、実は、ひとり、いや、半人くらいある」
「私の手紙、ごらんになって?」
「見た」
「ご返事は?」
「僕は貴族は、きらいなんだ。どうしても、どこかに、鼻持ちならない
「けれども、君たち貴族は、そんな僕たちの感傷を絶対に理解できないばかりか、
「ツルゲーネフは?」
「あいつは貴族だ。だからいやなんだ」
「でも、猟人日記、……」
「うん、あれだけは、ちょっとうまいね」
「あれは、農村生活の感傷、……」
「あの野郎は田舎貴族、というところで妥協しようか」
「私もいまでは田舎者ですわ。畑を作っていますのよ。田舎の貧乏人」
「今でも、僕をすきなのかい」
乱暴な口調であった。
「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」
私は答えなかった。
岩が落ちて来るような勢いでそのひとの顔が近づき、
また、二人ならんで歩きながら、
「しくじった。
とそのひとは言って、笑った。
けれども、私は笑う事が出来なかった。
仕方が無い。
言葉で言いあらわすなら、そんな感じのものだった。私は自分が
「しくじった」
とその男は、また言った。
「行くところまで行くか」
「キザですわ」
「この野郎」
上原さんは私の肩をとんとこぶしで
福井さんとかいうお方のお宅では、みなさんがもうおやすみになっていらっしゃる様子であった。
「電報、電報。福井さん、電報ですよ」
と大声で言って、上原さんは玄関の戸をたたいた。
「上原か?」
と家の中で男のひとの声がした。
「そのとおり。プリンスとプリンセスと一夜の宿をたのみに来たのだ。どうもこう寒いと、くしゃみばかり出て、せっかくの恋の
玄関の戸が内からひらかれた。もうかなりの、五十歳を越したくらいの、頭の
「たのむ」
と上原さんは一こと言って、マントも脱がずにさっさと家の中へはいって、
「アトリエは、寒くていけねえ。二階を借りるぜ。おいで」
私の手をとって、廊下をとおり突き当りの階段をのぼって、暗いお座敷にはいり、部屋の
「お料理屋のお部屋みたいね」
「うん、成金趣味さ。でも、あんなヘボ
ご自分のお家みたいに、勝手に押入れをあけてお
「ここへ
だだだだと階段からころげ落ちるように騒々しく下へ降りて行って、それっきり、しんとなった。
私はまたスイッチをひねって、電燈を消し、お父上の外国土産の生地で作ったビロードのコートを脱ぎ、帯だけほどいて着物のままでお床へはいった。疲れている上に、お酒を飲んだせいか、からだがだるく、すぐにうとうととまどろんだ。
いつのまにか、あのひとが私の傍に寝ていらして、……私は一時間ちかく、必死の無言の抵抗をした。
ふと可哀そうになって、放棄した。
「こうしなければ、ご安心が出来ないのでしょう?」
「まあ、そんなところだ」
「あなた、おからだを悪くしていらっしゃるんじゃない?
「どうしてわかるの? 実はこないだ、かなりひどいのをやったのだけど、誰にも知らせていないんだ」
「お母さまのお亡くなりになる前と、おんなじ
「死ぬ気で飲んでいるんだ。生きているのが、悲しくて仕様が無いんだよ。わびしさだの、淋しさだの、そんなゆとりのあるものでなくて、悲しいんだ。陰気くさい、嘆きの
「いいえ」
「恋だけだね。おめえの手紙のお説のとおりだよ」
「そう」
私のその恋は、消えていた。
夜が明けた。
部屋が薄明るくなって、私は、傍で眠っているそのひとの寝顔をつくづく
犠牲者の顔。貴い犠牲者。
私のひと。私の
この世にまたと無いくらいに、とても、とても美しい顔のように思われ、恋があらたによみがえって来たようで胸がときめき、そのひとの髪を
かなしい、かなしい恋の
上原さんは、眼をつぶりながら私をお抱きになって、
「ひがんでいたのさ。僕は百姓の子だから」
もうこのひとから離れまい。
「私、いま幸福よ。四方の壁から嘆きの声が聞えて来ても、私のいまの幸福感は、飽和点よ。くしゃみが出るくらい幸福だわ」
上原さんは、ふふ、とお笑いになって、
「でも、もう、おそいなあ。黄昏だ」
「朝ですわ」
弟の直治は、その朝に自殺していた。
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底本:「斜陽」新潮文庫、新潮社
1950(昭和25)年11月20日発行
1994(平成4)年6月5日93刷
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:SAME SIDE
校正:細渕紀子
2003年1月23日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について
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